相続した土地を売却したい!正しい手順や自分でできる節税対策とは
相続した土地を売却したい場合、どのような手順で売却すればいいかわからず悩まれる方は多いのではないでしょうか。売却の手順、必要な書類、税金関係など、土地の売却にはいくつかのハードルがあります。この記事では、相続した土地を売却する際に、「何からしていけばいいか」ということや「注意点」についてお伝えいたします。
相続した土地を売却するには
相続した土地を売却する場合、4つの手順を踏んでいく必要があります。その手順とは「遺産分割協議をする」「相続登記をする」「相続した土地の売却をする」「売却で得た現金を分割する」の4つです。
ひとつひとつ見ていきましょう。まず「遺産分割協議をする」です。この手順は、相続人が1人の場合には必要ありません。しかし、2人以上相続人がいるときには必ず必要な手順になります。相続人全員で、多くの場合専門家(行政書士、司法書士、弁護士)を交えて、土地を売却した後残る財産をどのように分割するかを協議します。
次に「相続登記をする」です。相続登記とは、相続した土地の所有権を相続人へ変更する手続きです。相続登記は必要書類も多く、司法書士へ依頼する方も多い作業になります。
3つ目の手順は「相続した土地の売却をする」です。この段階で不動産会社に依頼して購入希望者を募り、売買契約を交わすことになります。
最後の手順が「売却で得た現金を分割する」です。こちらも、相続人が1人の場合には必要ありません。2人以上いる場合、1番はじめの手順で行った「遺産分割協議」の結果に基づいて財産を分割することになります。財産を受け取るだけでなく、土地売却にかかる税金も、相続人全員の負担になるので、その点には注意が必要です。
相続した土地の売却には税金がかかる
相続した土地には、相続税以外にも5つの税金がかかります。
1つ目は「登録免許税」と呼ばれるもので、相続登記の名義変さらにかかる税金です。不動産の価額の0.4%を納める必要があります。
2つ目は「印紙税」で、売買契約書に貼付する印紙代のことを指しています。売買契約書の金額に応じて2,000円〜10万円が必要となります。
3つ目の税金は「譲渡所得税」と呼ばれるもので、相続した土地の売却で出た利益に対してかかる税金になります。土地の所有期間が5年以下だと譲渡所得の30%、所有期間が5年超えだと譲渡所得の15%を差し引かれる計算になります。
4つ目は「住民税」です。相続した土地の売却で出た利益に対してかかる税金であり、土地の所有期間が5年以下だと譲渡所得の9%、所有期間が5年超えだと譲渡所得の5%が税金として請求されます。
最後が「復興特別所得税」です。こちらは、令和19年まで上乗せされる所得税で、所有期間が5年以下だと譲渡所得の0.63%、所有期間が5年超えだと譲渡所得の0.315%を税金として納めなければなりません。
以上のようにさまざまな税金が必要になるため、相続した土地の売却の際には、税金のことも考慮にいれて考える必要があります。
自分でできる節税対策とは
知っておきたい節税対策として「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」という制度があります。この制度は、相続税の申告期限から3年以内に土地を売却すれば税負担が軽くなるという特例で、この制度を利用することで所得税・住民税の課税対象となる譲渡所得の額を減らすことができるので、その分節税をできます。
ちなみに、この特例を利用するには3つの条件があります。
・相続や遺贈により財産を取得した者であること
・その財産を取得した人に相続税が課税されていること
・その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
これらの条件を満たせる場合、ぜひこの特例の活用を検討してみましょう。
売却後に利益が出たら確定申告が必要
相続した土地の売却について、注意しておきたい点として「確定申告」があります。相続した土地を売却して利益が出た場合、「翌年2月16日〜3月15日」に確定申告する必要があります。「利益が出た場合」というのは、譲渡所得がプラスになった場合(譲渡収入金額から取得費と譲渡費用を差し引いてプラスの場合)を指しています。
しかし、もし利益が出ていない場合であっても、先ほどお伝えした「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を利用するためには「確定申告が必須」となっているので、この点にはとくに注意が必要です。
ここまで、「相続した土地を売却するために必要な手順」「相続した土地の売却にかかる税金」「自分でできる節税対策」「土地売却後に利益が出たら確定申告が必要」といったトピックについて、お伝えしてきました。「土地の売却」というのは非常に複雑な手続きが必要になってきます。ぜひお伝えした情報を参考に、専門家(司法書士など)に相談しながら、土地の売却に取り組んでみてください。