不動産売却の買取保証はどんな内容?
コンパクトな地域の中に充実した都市機能が備わった松本市は住宅人気が高く、住み替え需要も旺盛です。住んでいるマイホームを売って同じ松本市内で新たな住まいを探す人もいます。住宅の売却方法には「仲介」と「買取」がありますが、他に「買取保証」もあります。今回は、仲介と買取のよいところ取りともいえる買取保証を具体的に解説します。
仲介と買取の両方の性格をもった売却法
不動産売却の手法として全国的に広く行われているのが、仲介と買取です。松本市内の物件を扱う多くの不動産会社も、このいずれかあるいは両方を手がけています。
このうち仲介とは、物件所有者の依頼を受けて不動産会社が買い手を探し、売買契約を成立させるためのサポートを行うことをいいます。買い手側に対しては売り手側の代理人となって物件の特徴や周辺環境についての説明をしたり、実際に物件を見たいという人を案内したりする一方、売り手に対しては買い手の代理人となって価格の引き下げや引き渡しの時期などに関する交渉を行います。
これに対し、買取では不動産会社が自ら買い手となって物件を購入します。購入後の取扱いは会社によって千差万別ですが、通常はそのままあるいはリフォームなどを施した後に転売します。古い戸建て住宅を購入した後いったん更地にして、アパートを新築して投資用物件として売り出したりすることもあります。
この2つは松本市内でも主流の不動産売却法となっていますが、実はこの他にもう1つ、あまり知られてはいませんが買取保証というやり方もあります。といっても、前の2つとまったく違うやり方ではありません。むしろ両者を合体させた手法といういい方が適当です。手持ちの物件を確実に、うまく行けば高く売れる方法という評判があり、採用されるケースが近年増加しています。
仲介で買い手が現れなくても確実に売れる
買取保証は、一定期間は仲介によって売却を目指すが、その期間が過ぎれば買取に切り替えるという不動産売却の手法です。
細かな手続きは不動産会社ごとに異なりますが、大まかな流れは次の通りです。まず、物件所有者が不動産の売却を依頼すると、不動産会社は一定期間(通常は3か月程度)にわたって仲介の形で営業活動を行います。不動産情報サイトに広告を掲載したり、チラシを配布したり、手持ちの顧客リストに当たったりするなどして買い手を探します。
その結果、買い手が見つかれば不動産会社は売買契約をまとめ、物件の引き渡しを仲介して営業活動は終了となります。その際に支払われる仲介手数料が、不動産会社の収入となります。しかし、当初予定期間を経過しても買い手が見つからないことがあります。その場合は、不動産会社自らが物件を購入します。
つまり、最終的には不動産会社が購入することがあらかじめ保証されているゆえに、「買取保証」と呼ばれているわけです。このやり方であれば、物件所有者はいつまで経っても買い手が現れず、住み替え等の予定が立たなくなってしまうという心配から解放されることになります。
また、買取価格を査定してもらうことによっていくらで売れるかがあらかじめわかっているので、資金計画を立てやすいというメリットもあります。仲介の場合だと購入希望者が値下げを要請してきて当初の予定より安い金額で手放さなければならないことがありますが、買取保証にはその心配がありません。
あらかじめ注意しておくべき課題もある
もちろん、買取保証はメリットばかりというわけにはいきません。課題もあります。それは、売却価格が相場よりも安くなるケースがあるということです。もし仲介期間中に不動産売却に成功すれば、その価格は値下げ交渉に応じない限りはほぼ相場通りの金額となります。
しかし買い手が現れず、不動産会社が買い取ることになった時は、会社側は自らの利益を出さなければならないため買取価格を相場より引き下げます。そのぶん、売り手に渡る金額は少なくなります。一般的には、買取価格は市場価格の70%から80%程度に下がります。
ただ、これは売り手側があらかじめ買取価格について承知している場合は、とくにデメリットにはなりません。住宅ローンの残債がある物件を売る場合でも、住み替えローンを利用するなどして資金調達の目途がつくようであれば充分に対応が可能です。
もう1つの課題は、契約できる不動産会社は1社のみだということです。通常の仲介であれば、買い手探しを1社のみに限定する他に、同時に複数の会社と契約するなどいくつかの契約方法があります。
これに対して、買取保証の場合は1社としか契約できません。また、契約期間中は他の会社に乗り換えることも原則として不可能です。そのため、スムーズに不動産売却を実現するには、事前に情報収集を行って自分の希望に合った金額や条件で買い取ってくれる不動産会社を選ぶことが非常に重要になってきます。
買取保証は、不動産会社が仲介によって買い手を探すが、見つからなかった時は自らが物件を買い取ってくれるという不動産売却の手法です。仲介と買取のメリットを併せ持った売却法ですが、課題もあるのでその点をよく理解したうえで会社選びを行うことが大切です。